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2014年

2014年12月21日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

<水素ステーションの現状と課題を俯瞰する>

 燃料電池車はトヨタ自動車が12月15日、静かに販売を開始した。2015年度まで
400台の販売予定であるが、上積みを計画しているようだ。それに呼応して水素
ステーション設置の動きも活発になっている。

私自身、ここ数か月、水素ステーション機器に関してなぜ高額になるのかを中心に
企業と取材や意見交換を行ってきた。まだ初期段階ではあるが、そこから見えた現状や
課題について、自分なりに整理してみたい。

1.製造現場のモチベーションは高い

  取材して少し驚いたことである。水素ステーション機器を製造する企業は、
  モチベーションの高い企業が多いという印象だ。長い間、実証試験などの機器ばかりを
  作ってきたからかもしれないが、ようやく量産機器を作る機会が到来したと思っている。
  現実にはまだまだ手作りであろうが、高い気概をもって取り組んでいる。

2.反面、もどかしさも見える

  一方で、もどかしさも垣間見える。つまり、全力疾走しようにも、いろいろと条件が
  つき、なかなか走れないもどかしさである。一つは水素ステーション構成が複雑で、
  選択肢が多いことだ。

  オンサイト方式とオフサイト方式の違い、圧縮機であれば差圧充填方式と直充填方式の
  違い、ブースター必要の有無等々である。

  また規制も多い。水素脆化を防ぐための規制や、設置場所の規制(各機器と敷地境界
  もしくは道路境界から8m以上の距離が必要など)など、安全を担保するためにとはいえ、
  かなり多い。

  さらに、部品の事前申請制度もある。水素ステーションの設備機器は、高圧ガス保安
  協会にて、事前申請を行い、認可を得る必要がある。つまり、場所を特定し、仕様が
  固定しないとモノが作れない。

  一般の自動車部品のように、一度に大量に作っておき、必要に応じて供給することが
  できない。プラントであることは理解するが、価格低減を行う際のハードルとして
  立ちはだかってしまう。

3.プラント機器だけに、価格低減はゆるやか

  ヒアリング前は、初期段階は手作りであり高額であるものの、その後、量産体制が
  取れれば大幅に価格低減が図れると想定していたが、どうもそんな感じではない。

  先述の規制の話や、設置する土地のサイズ・条件などにより、結局、一品一葉に
  ならざるを得ないのではないか。ある意味、水素ステーションはどこまでいっても
  手作りプラスαなのである。

  そうなると、価格は急激に低下するというより、ゆるやかにしか下がらないように思える。
  天然ガス用圧縮機などでは、数年で3割程度下がり、その後はほぼ一定しまったとも仄聞
  している。結局、2020年で3割~4割低下が現実的なラインであろう。

4.第一世代と次世代をどうマッチングさせるか

  最近、水素ステーションに関連する記事が多い。次々と新技術が開発されているようだ。
  その中でも代表的なものは水素を常温・常圧で運ぶ有機ケミカルハイドライド法による
  水素貯蔵輸送システムであろう。

  それ以外にもアンモニアによる水素貯蔵輸送システムなど、いろいろなものが
  研究開発中である。水素ステーションの難しさは、設備は一度作ると10~20年単位で
  あるにも係らず、技術が開発途上にあり、次々と新しい技術が開発されることにある。
  つまり、現在の第一世代と次世代技術をどうマッチングさせていくのかが問われる。

5.自動車メーカーの事業の定義

  そして最大の懸念は、自動車メーカーの関与のしかたにある。現在は、水素ステーションは
  自らのビジネスの領域外にあると定義し、あくまで間接的に支援する姿勢を取っている。

  はたしてそうであろうか。実は電気自動車の初期にも同じようなシーンがあった。
  「充電インフラは自動車メーカーの仕事ではない」と定義し、あくまで他企業に委ねるべきだ
  と考える経営幹部がいた。しかし、それでは鶏と卵の関係が進まない。
  なかなか充電インフラが立ち上がらないのだ。

  結果的に、「充電インフラも自動車メーカーのビジネスの領域である」と定義し、幅広く
  支援することで現在に至っている。例えば、販売会社に急速充電器を設置し、民間企業が
  急速充電器を設置する際の支援などである。
 
  おそらく、FCVも同様であろう。FCVを普及させたい企業が自ら投資して、販売会社の近くや
  工場さらには主要な場所に水素ステーションを設置していかなければ、なかなか広がらない
  のではないか。

 P.F.ドラッカーは「事業の定義のなかには、長く生き続ける強力なものもある。だが、人間が
つくるものに永遠のものはない。とくに今日では永続しうるものさえほとんどない。事業の定義
も、やがては陳腐化し実行性を失う」という。

 今回も、自動車メーカーが、「水素ステーションは自らのビジネスの領域である」と定義
できるか否かが、初期段階に於けるキーポイントではないだろうか。

2014年12月6日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

<タカタ問題が示唆する今後の自動車開発のリスク>

 2005年の発端から約10年が過ぎ、今夏からリコール処置が多くなったタカタ製
エアバック問題は、ここにきて一段と深刻さを増している。以前に内装設計
技術者としてインパネや助手席エアバックの開発に携わった経験から、今回の
問題について考えてみたい。

 近年、複数のエアバックが採用されているが、今回問題となっている運席エアバック、
助手席エアバックは次の動作を行う。クルマが衝突した直後、ECUやセンサーから
信号を受け、インフレーターに着火してガスを発生させ、15ms~20ms(0.015秒~0.02秒)後
には、エアバック自身を膨らませる。乗員はこのエアバックに衝突することで、
ステアリングやインパネなど車両本体に衝突することを防ぎ、乗員の損傷を防止する。

 今回はそのガス発生装置であるインフレーターに原因があるのではと言われている。
真因は調査機関に委ねるとして、このような問題が起きる要因や、今後の自動車開発の
課題について考え方を整理してみた。

1.コンポーネントの根幹がサプライヤーに委ねられている

 一般に、自動車会社はエアバックメーカーが開発するコンポーネント(主にインフレーター
構造や特性)をベースに、自社の車体に合うようにチューニングして開発を行う。
つまり、エアバックメーカーが3~4年毎に開発する(第2世代、第3世代というように)
新型のインフレーターに対して、インフレ―ターの出力、エアバック形状やベントホール
(エアバッグ背面や側面にある排気孔)の位置・サイズ、取り付け構造などを考慮して
設計を行う。

 その際、エアバックの世代が新しくなればなるほど、小型・軽量化・低コストとなって
いることから、設計者は車両の開発時期をにらみながら、できる限り新世代のモノを
採用しようと心掛ける。つまり、自動車会社は異なっても、同じエアバックメーカーの
同じ時期であれば、インフレーター構造は同じものを採用する例が多い。

 このため、一旦基幹部品であるインフレーターに問題が発生すると、採用した全ての
メーカーが同じ被害を受けることとなる。これが被害が拡大している要因となっている。

2.部品製作のトラッキングも、サプライヤーノウハウとして委ねられている

 複数のエアバックメーカーを訪れた経験から、エアバックの製作はまるで軍需品と
同じように、ある時はそれ以上に、製造方法やプロセスが厳しく管理されている。
部品単体、何か部品を組み付けた場合は必ずバーコードなどで製造年月日を管理し、数値
(例えば締め付けトルク値)が必要な工程では全ての数値を管理し、特性など画像が
必要な場面ではそれらも記録管理している。

 また、後々追跡できるように、部品のトラッキングシステムも整備されている。
しかし、今回の要因として「ガス発生剤の成型工程が不適切又は成型後の吸湿防止措置が
不適切」が挙げられている。もしこれらが正確にトラッキングされていないのであれば、
いくらプロセスができていても、検査工程の省略やおざなりの可能性もあり、原因を
追究することが困難となる。さらなる調査が必要であろう。

3.安全性を司る基幹部品は、車両開発と密接な関係があり、代替えがきかない

 エアバックはシートベルトとともに、クルマの衝突安全を担保する重要な役割を
担っている。このため、基本計画段階から詳細設計(車両特性、インフレーター特性、
エアバック形状、ベントホール、シートベルト特性、助手席ではティアラインと呼ばれる
破断面)を、CAEも活用して検討している。

 また台車によるスレッド試験を通じてエアバックの展開状況を確認し、数多くの
チューニングを行いながら、最終的には実車衝突試験により効果を確認しながら開発を
進めている。これらの開発は数年に及ぶものであり、直ぐに他社製インフレーターに
切り替えようと思っても、インフレーター構造や特性が必ずしも同じでないことから、
一連の試験を確認しなければならず現実的でない。

 通常の部品であればリスクを考慮して2社発注しているが、エアバックのように
車体構造、シートベルト、インパネなど車両開発の多岐に影響が及ぶ部品は、1社に絞って
集中開発することが多い。もし代替え品を探すとなると、一連の試験を再度実施しなければ
ならず、緊急開発したとしても、少なくとも1年の期間と、実車衝突も含めて多大な費用が
掛かるのではないだろうか。今回のように多くの車種があるとなると、想像がつかない。

4.部品交換が容易でない

 エアバックは、ブレーキバッドやワイパーのように消耗品でないことから、組み付け性を
重視して設計されている。最近は、アッセンブリの工程を減らすため、モジュール開発が多く
採用されており、助手席エアバックなどもインパネASSYの一部品として車体に組み付けられている。

 それだけに、助手席エアバックのみ交換することは容易ではない。配慮されたケースもあるが、
インパネASSYを取り外すとなると、100kg前後となる重量物をクルマから降ろさねばならず、
現地の販売会社にとっては、たいへんな作業となる。また、結線処理など、二次不具合が
起きないように慎重な作業が求められる。

5.部品交換までの事故に対する懸念

 今回のように、多くの自動車会社にて数百万台と一斉にリコールを発動する場合、
部品供給が追い付かず、部品製作だけでも2~3年要するのではと懸念される。その間、
エアバック装置をOFF設定にすることは可能であるが、もし事故が発生した場合の責任の
所在が問題となる。助手席の場合、できる限り後席に乗ることで回避できるが、運席では
防ぎようがない。どのようにユーザーに浸透を図るかの問題も出てくる。

 今回の件から、今後の自動車開発に向けて、次のようなアクションが必要となってくる
のではないかと考える。

・自動車会社は、これまでエアバックメーカーのインフレーターは固有の商品であることから、
 それ以外のバック形状や取り付け構造に注目して検査を確認してきた。しかし、車両と
 一蓮托生であることがより明らかとなったことから、基幹部品であるインフレーターの
 製造方法についても関与せざるを得ない。

・エアバックのトラブルが多発しているため、今後は不具合があるかもしれないことを
 前提として、交換が容易なように設計手法を改めていく必要がある。

・今回の被害が拡大した一因として、2005年に発覚してから多くの時間が過ぎていることが
 挙げられる。市場不具合に対してより感度の高い対応が求められている。

・エアバックメーカーは、インフレーターなど基幹部品について、自社での品質管理体制を
 強化するだけでなく、自動車会社もしくは専門機関からの協力を仰ぐことも必要ではないだろうか。

 

2014年11月10日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

先週金曜日、『自動走行するクルマが家と街づくりを変える』というテーマにて
経済産業省自動車の方、および積水化学工業の方と一緒にセミナーを開催させて
いただきました。

その中で、「自動運転車」について、経済産業省自動車課の方より、「日本は
自動運転車について世界で最先端かと思っているかもしれないが、必ずしも
そうとは言えないのではないか」との問題提起がありました。

どういうことかと申しますと、「自動運転車」を実現しようとすれば、自動車
メーカーのみならず、大学などの学識経験者、カメラ・センサーなどの機器メーカー、
それ以外にも自動運転を開始することによって生まれる多くの利害関係者
(例えば保険関係、消費者など)数多くの関係者の議論が必要となります。

しかし、現在は必ずしもそうはなっていないのではないかとの問いです。
確かに現在は自動車メーカーが先行しており、それ以外の方は何がどうなっている
のか判りにくのではと思えるため、核心を突いた言葉に、思わず「ビリビリ!」
ときてしまった次第です。

ただ、これは言い訳かもしれませんが、現在の日本では、「道路交通法」により
「自動運転」が禁止されており、このような状況から、例え大学関係者であっても、
何かモノを言ったり、試験などの行動に移しにくいのかもしれません。

「自動運転」は技術だけで解決できない問題も多く、幅広い知見者からの意見を
吸い上げる仕組みが必要です。このため、今後、多くの関係者を巻き込みながら
どのように取り纏めていくのか、大きな課題となりそうです。

2014年10月27日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

「えっ、これどうやって作るんですか?」

先日、ある中小企業を訪れた時、出されたサンプルを見て思わず、そう聞いて
しまいました。それは板金プレスでありながら、まるで樹脂成型品のような
複雑な形状をしていました。

私も設計を20年以上やっていたので、およそのモノは見ただけでどうやって
作るのか分かるのですが、その時はしばらく考え、その後、その会社社長に聞いた
ところ、だいたいそのプロセスを当てることができました。

その時ふと思ったのです。こんな設計は普通しないよなと。最近はCADにて設計を
行うことから、完成形は判ったとしても、それをどう作るかはビジナー設計者だと
意外に頭に入っていないことがあります。このため、完成形だけではなく、それを
どう作るかも頭に描きながら設計するように、常に教えていたものでした。

でも、上述の複雑なモノを見て、こう思ったのです。
・容易に作れるように設計する⇒ 誰でも作れてしまう。
・出来そうにないけれど、要求があるため図面を描き、できる企業を探す
 ⇒ 一部のプロと言われている企業は、それを成し遂げる。

このような構図も成り立つのではないかと。作り易い設計だけが全てではない。
設計経験が長いにも係らず、思わずビリビリ!とした瞬間でした。

日本のモノ作りに於ける価値、そしてこれから生きる道も、意外にこのような
ところにあるのかもしれません。また、複雑だからコストが高くなるかと言えば、
最近の技術がそれをカバーし、いろいろなメカを構築することでツギハギ製品より
安価にできることもあるようです。

既成概念でとらえることの恐ろしさを思い知らされた一日でした。

CEATECにてトークショーのモデレーターを担当

10月9日、CEATEC会場のロームブースにて、特別セミナーの開催、およびロームエンジニアとのトークショーのモデレーターを担当させていただきました。トークショーでは、たいへん来場者の多い時間帯となり、大盛況の開催となりました。

トークショー

 

2014年10月7日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

10月6日、台風18号が過ぎた直後に、海浜幕張にて準備が進むCEATECのメディア
コンベンションに参加しました。各ブースは、台風のため機材が到着していなかった
り、技術者が到着できないため、展示が遅れており、10月7日からの開催のため相当
焦っているように見受けました。

いくつかは準備完了しており、その中で、ひときわ目を引いたのが、パナソニック
による「Technics」ブランドの復活です。大型のスピーカーやアンプなどのカット
モデルなども展示され、まだ音は聞くことはできなかったものの、大きなエリアを
占めていました。

今の若い方はご存じないかもしれませんが、昔は高級オーディオの代名詞として、
Technics(テクニクス)ブランドは憧れをもっていたものでした。

それが2010年には廃止され、ヘアドライヤーからオーディオ・テレビにいたるまで、
全てがパナソニックブランドに統一されてしまい、本当にこれで良いのかなかと
思っていたものです。

過去の経緯を知るものからみれば、復活展示されたTechnicsのオーディオ機器を見て、
感動のあまり、思わずビリビリ!ときてしまった次第です。

最近、ヘッドホン(特にbマークなど)をした方を電車の中でも見かけますが、
音楽も本物志向が強まってきたのではないかと思われます。

そのような中でのTechnicsの復活。これまで日本の家電メーカーが今一つ元気が
ありませんでしたが、このようにブランドが一つ一つ復活していくことで、個性豊かな
商品が出てくればと思います。

CEATECは、10/7(火)~10/11(土)です。お時間あればぜひとも会場へ。

2014年9月9日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

9月8日、米国テスラモータースが日本にてモデルSの納車を開始しました。
昨年5月、まだ日本に1台しかなかった頃に乗る機会があり、先進性と快適性を
兼ね備えた電気自動車だけに、市販の出現を楽しみにしていたものです。

ところが、今回の式典を見て「ビリビリ!」ときたものがありました。それは何と、
日本向けは右ハンドルに直して出してきたではありませんか。

クルマはご承知のように、日本などが採用している右ハンドルと、その他欧米などが
採用する左ハンドルがあります。最初から両方とも計画していれば問題ないのですが、
確かモデルSは米国販売だったので、左ハンドルのみで計画されたと聞きました。

つまり後から右ハンドルを開発したのであり、クルマ屋から言うと、実はこれは
かなり大変なことです。ステアリング位置、ダッシュパネル、ペダルレイアウト、
ディスプレイレイアウトなどかなりの部分を一からやり直さなければならず、
最悪の場合、現在量産している左ハンドルの車体まで影響を受けることとなります。
おそらく、テスラ技術陣は四苦八苦しながら開発したのではないでしょうか。

なお、テスラは、今回のモデルS以外にも、米国で今秋発売予定のSUV版である
モデルX、さらに2017年に廉価版(価格は35,000ドル前後)のモデル3も投入予定です。

また、9月4日には約5,000億円投じるギガファクトリーをネバダ州に設置することを
アナウンスしました。日本の自動車メーカーが電気自動車に対して開発や投資を躊躇
している間に、どんどん先に行ってしまっています。

筆者だけではないと思いますが、最近、EV/PHEV、自動運転車やグーグルのテレマである
「アンドロイドオート」、ワイヤレス給電など、新技術に対して世界の中で地盤沈下が
著しくなってきたように思えます。1980年に出版された「ジャパン・アズ・ナンバーワン」
ではないですが、バブルを経た後、日本経済が凋落したことを思い出す時期に来て
いるのではないでしょうか。

 

2014年8月2日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

時代は少し遡りますが、2010年3月にDC急速充電に関する協議会(チャデモ協議会)
が設立されました。これは急速充電器を通して電気自動車にDCによる大電流の充電を
行う方式ですが、多くの識者から、この方式を活用して、電流値は異なるものの、
逆に給電(つまり電気自動車から家への充電)ができるのではと言われました。

私も全くの同意見であり、自動車会社各社や行政と調整を試みましたが、うまく
いきませんでした。その最大の理由は、電気自動車はまだ出たばかりで市民権が
なかったこと。チャデモ方式も名乗りを挙げたばかりで、国際規格標準化に至って
おらず、さらなる拡張仕様などに時期尚早と思われており、なかなか相手に
されなかったことが思い出されます。

その後、2011年3月11日に東日本大震災が発生し、電力供給不足が顕著となり、
各地にて停電が続いていたことから、電気自動車の持つ大容量の電池をなんとか
アウトプットして、市販の家電製品などを使用できないかと多くの問い合せが
あったものでした。

それに呼応したのが、三菱自動車「MiEV power BOX」であり、その後に市販
された日産自動車の「LEAF to Home」でした。

ただ、やはり電気事業法など法律の壁は厚く、系統連系の問題、さらには
チャデモ方式が国際規格標準化にいつ認定されるのかなど、不確定要素が多く、
画策は行うものの、いつ実現できるかは見通せていませんでした。

それから約3年を経た今年、7月に三菱電機、そして積水化学工業から、系統・太陽光・
電気自動車をシームレスに繋ぎ充電・給電が可能となる本格的V2H商品が発売されました。

私自身、当時から成し遂げられなかったことだけに、自分のことのように嬉しく
思いました。当時は、自動車会社がこの役割を先導すべきと考えておりましたが、
今回、住宅メーカー、V2Hパワコンディショナーメーカーが協力して成し遂げて
くれました。

本件について、今回取材を行ったのですが、過去から経緯を知る私にとっては、
よくここまで仕上げていただいたと、思わず感謝とともに、ビリビリ!と感じて
しまった次第です

今回の突破口により、系統~家~電気自動車とが繋がり、「Connected Vehicle」と
呼ばれるクルマと全てが繋がる時代が近づいているように思えます。
いよいよ第二幕の幕開けとなるのでしょうか。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1407/31/news016.html